そういえば、これまでデンマークのフォルケホイスコーレに行く、と繰り返し書いてましたが、「フォルケホイスコーレ」が何なのかをまだ説明してませんでした。
フォルケホイスコーレは、デンマーク語ではFolkehøjskoleと記述しまして、英語に直すとFolk high school、日本語に直すなら国民高等学校となります。
は?って感じでしょうが、感覚としては大学の一般過程+専門学校と考えて差し支えないのではないかと思います。
もちろん学校によって特色は異なるため、芸術系を専門とするところもあれば、ITや福祉、理系を専門とするところもあるようなので、言葉の問題さえクリアすれば、学びたい事が学べてしまいます。
で、この学校の何が特別かって言うと、まず、デンマークの学校なので、学費が無料です。(※デンマークでは、教育にかかるお金はほとんど全てが国費から賄われています)
加えて寄宿制の学校のため、入学の際には寄宿費を支払うわけですが、この寄宿費で寮の家賃と一日三食(週末はブランチと夕食の二食)が賄われるわけです。
そんな都合のいい話があるの? なんか怪しくない?
そう考えるのはまあ、当然でしょうね。実際、うちの父親も最初は疑いまくりで説得が大変でした(笑)
もちろんこのフォルケホイスコーレの成り立ちには、きちんとした理由があるわけですが、その始まりは、1800年代後半にまで遡ります。
そもそもイギリスの寄宿学校を参考とした学校がデンマークにはあったのですが、やはりイギリスの制度が元となっていたため、宗教色が濃かったり、普通の学校となんら変わらない状況だったようです。
けれど1800年代後半に起きた第二次シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争にてデンマークは大打撃を受けます。
国土をごっそりと持っていかれるわ、戦争で若い人たちは傷ついてるわで「これじゃあこの国の未来は真っ暗だ!」と嘆いた有識者やブルジョワジーな方々が集まり、「よし、国に頼る事ができないんだったら、我々で若い人たちが勉強できる場所を提供しようじゃないか! 国民の大半は農民で学を身に着けようなんて考えもしていないし、考えたところで大学で勉強するには金がかかる。だから我々が学び舎と寮を提供し、そこに住まう費用だけを払わせればいい。学費? それくらいは我々が負担するさ。知識をつけた若者が増えれば、きっとこの国は良くなるはずだ!」と話し合った結果、今に続くフォルケホイスコーレが生まれたのです。
こんな感じに元々はブルジョワジーな方々が私財を投げ打って作った学校でしたが、時と共に制度が変化し、国が学費を持つ事になりました。
なんですが、やはり「国に頼ってられっか!」精神で始まったために、「お金はもらうけど口は出さないでね!」って立場を貫いているんだそうです。なんかちょっとかっこいい(笑)
ちなみに現在では、高校を卒業した後だとか転職の間などに自分が学びたいと思うものを学ぶために通う学校として位置づけられているらしく、文字通り生涯教育の場となっているようです。
そんな経過で生まれた学校なので、17歳以上であれば誰でも入学できます。
授業についていけるだけの語学力さえあれば(※ここ重要)、国籍も人種も問われません。
入学試験も中間・期末試験もありません。もちろん卒業試験や卒業論文も不要です。
その代わり、学位や卒業証書なんてものもありません。デンマークや他の北欧の国々とは違い、日本では学歴として履歴書に書いたとしても、所詮専門学校と同等の扱いに……なるのだろうか(汗)
むしろこう、「これ何? 学校なの? どんなところ?」と訊きまくられる事必至だと思いますし、そもそも知ってる人に出会う率がとてつもなく低いでしょう。(ワーホリですらよく知らない人が多いですしね……)
さて、概念的にはこんなものでしょうか。間違っているところなどあればご指摘ください。
思ったより長くなってしまったので、うちが7月から通おうとしている学校についてはまたいずれ、時を改めて書かせていただきます。
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