巷ではよく、「あっちの国は物価が高い」とか「こっちの国は物価が安い」なんて話をしてます。
うちもそんな風にこれまで行った国々の事を評価していたんですが、最近になって「違う、これ、物価じゃない」と気づきました。
物価っていうのは、そもそも「その国の中で普通に仕事して賃金をもらって生活している人にとって、高いと感じるか安いと感じるか」を計るための基準です。
つまり、国が違えば文化も違うし流通しているものも異なるので、物価に対する基準が変わるのも当然なんですよ。
じゃあ、これまで「物価」と称していたのは何なのかって話ですが、答えは意外に単純です。
自国の通貨に対するその国の貨幣価値が高く感じるか、安く感じるか。
そう、これなのです!
……って、こんなんじゃよくわかりませんよね。
ではでは具体例として、うちがいた頃のオーストラリア(2006年ごろ)と、リーマンショック直後に為替値が暴落した後(2008年8月ごろ)のオーストラリアを例に挙げてお話しましょう。
うちがいた頃の豪ドルは、確か1ドル=85~90円台でした。その後も順調に105円を超えるくらいまで上がったのですが、リーマンショック後にはなんとほぼ半値の55円台まで落ち込みました。
けど、考えてみてください。外国に対する通貨レートが変わったからって、それで国内のものの値段が大幅に変わると思いますか?
や、もちろん品やサービスによっては輸入品に対する円高還元セールのように変わるものもあるかもしれませんが、日用品が半額になったり倍額になったりとまではしないはずですよね?
その中でも特に価格に変化が起きなかったであろう本を例に挙げましょう。
うちがいた当時、アメリカ発の普通サイズのペーパーバックの小説が1冊約14AUSドルなんてステキなお値段をしてました。
つまりうちにとっては1冊あたり1000円を超える出費だったわけです。アウチ!
そんなもん、質素な生活をしているうちに買えるわけありません。おかげでオーストラリアからの帰国の旅路では、持ち帰った本がとっても少なかったです(笑)
ちなみに、アメリカでは同じ本が8ドルぐらいで売られてまして、当時のレートが1USドル=100円前後だった事を考えると800円の本が1200円以上! そりゃあもう、高いったらありゃしません。
でももし、うちがリーマンショック後に行っていたとすればどうでしょう。
14AUSドルは約800円です。安いわけじゃないですが、極端に高いとも言えません。うちの感覚からすれば「まあこんなもんか」です。
え、本の相場なんか知るもんか、ですって?
では話を食事に変えましょう。
オーストラリアはブリスベンに、Hanaichiという日本食のテイクアウェイショップがありまして、そこでは牛丼が5AUSドルぐらいで売ってました。
日本企業なんで味の方もまあまあイケる感じで、職の上でも食事の上でもなにかとお世話になりました(笑)
さて、この5AUSドル。うちがオーストラリアにいた当時は日本円換算で450円前後でした。
うん、結構普通ですね。吉●家やな●卯よりは若干高いですが、まあこんなもんでしょう。
でもこれ、リーマンショック後にいくらになったと思います?
なんと、牛丼一杯約280円!
特別キャンペーン中でようやくお目見えできるお値段ですよ!
で、こんな時期にオーストラリアに滞在していた人たちは言うわけですよ。
「オーストラリアっていいよー。物価安いもん。だって牛丼一杯300円しないんだぜ!?」と。
……でもこれ、ぶーです。バッテンです。間違いです。
だって5ドルは5ドルなんです。「物価」は変わってないんです。変わったのは為替レート、つまり日本円に対するオーストラリアの貨幣価値なんです。
実際、この記事を書いている2010年4月7日時点では、87円前後です。たぶんHanaichiの牛丼の値段は変わってないはずなので、日本円換算すると435円ぐらい。
うん、ちょっと高いかもしれないね、ってなお値段です。
でもオーストラリアで生活していると、5ドルで一食ってのはかーなり安い。匹敵できるのは、スーパーで売ってた1/4チキン+ポテトの4.5ドルぐらいじゃなかろうか。
ファストフードでも大抵が7ドル超えしてたので、ビンボーなワーホリメーカーとしては、コメと肉が食べられて5ドルはとてつもなく安く感じられたものです。
とまあ、さもしいお話はこれくらいにして(苦笑)
会話の際に、「あの国はモノが安かった!」「この国は何もかもが高くてねぇ……」とお土産話をする前に、ほんの少しばかり思い出してもらえると嬉しいです。
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